久我山は、丸まって寝るのだと思い込んでいた。
胎児のような、あのポーズで。
同じように、仔猫も丸まって寝るのだと思い込んでいた。
自分で仔猫を飼うようになるまでは。
「うわー…また盛大に大の字で寝てるな、ねこ太…。」
寝室の扉を開けると、飼い猫の姿がすぐに目に飛び込んで来た。
およそ猫とは思えぬポーズで身体を伸ばして眠っている仔猫に、優しい笑みが零れる。
その傍ら、他人のベッドを己のもののように陣取った男が寝返りを打ち、自然と其方へ視線が移った。
「…まあ、また良くお眠りですこと。好きだねえ、俺のベッド。」
唇の端に浮かべた笑みをそのままに、ベッドサイドに歩み寄る。
途端に、気配を察知したのかしないのか、久我山が身動ぎした。
起きたのかと顔を覗きこむと、眠りこけたままでノビノビと身体を伸ばし、ふああ…と大きな欠伸を零す。
「いやいや。お前、もう寝てるでしょうに…。」
笑みと一緒に思わず言葉が零れた。
「んー…あき、眠い…僕…。」
だからもう寝てるだろ、と囁いた声は何処までも優しく響いた。
これが恋だったら良かったのに、と風間はひそやかに思った。
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