「……ぇと…、アキ、知ってる? 猫はー…一匹だったら淋しくて死んじゃうんだよ?」
一瞬の間のあと、自慢気に、そして真剣に放たれた言葉に、思わず笑ってしまう。
「いや、それ兎だからね、零くん。」
「…猫じゃないの?」
「違う違う。猫は一匹でも平気でしょ。」
寧ろその方が猫と云う感じだ。猫だって、気紛れに他者を求めることもあるだろうけれど。
「……ふーん…。でも、淋しいよ。一匹。」
携帯ストラップを指差す久我山に、漫画の台詞みたいなことを云う奴だと更に笑いが零れた。
「そーかねえ。じゃあまた今度買いに行くか。」
「うん。…兎、死んじゃうの?」
「は?」
話が飛躍し過ぎる久我山に随分慣れたつもりだったけれど、そうでもなかったようだ。
どうやら、話題が少し遡っているらしい。
「や、実際はどうなのか知らないけど。良く云うだろ、兎は淋しかったら死ぬってさ?」
「ふゥん…。」
その時久我山は、自分が兎だったら良かったのにと思っていた。
何故そう思ったのかは、全く解らなかった。
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