実家に帰るなり、「ひろ、こっちに座りなさい」と仏壇前に連行され、何事かと身構えたら「パパに手を合わせなさい」と。
もう、家に帰って来ているらしい。
個人的には線香を束で焚いて家まで連れ帰るイメージがあったので(父の田舎は本当にド田舎なので、法事や仏事は兎に角派手で大袈裟で凄く色々やる)拍子抜け。
「え、もう帰って来てるの? 早くない?」(←失礼)
お線香を3本立てて、手を合わせて。
母が設えた初盆のミニミニ祭壇には万華鏡のようにくるくる回るぼんぼりと、あちこちから送られて来た御供えと果物と落雁と。
一番上に、ビスコの小さな箱と煙草。
ああ、未だばかみたいに涙が出る。
真実に、父は死んでしまった。
忘れ掛けていたことをこうやってつきつけられる。
「兄ちゃんにはどんだけ返しても返し切れないくらいに世話になったから」もっと頼れ、もっと甘えろ、何でも云え、そう云ってくれるひとたちが多ければ多いほど、辛くなるのは何故だろう。
懺悔の言葉ももう届かない。
わたしのパパは、本当に最高に素敵なひとだった。
母の目が少し赤かったことには、気付かない振りをした。
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